【中編】クリムト「接吻」が名画と呼ばれる3つの理由
名画と呼ばれる理由② 官能美
「接吻」が名画と呼ばれる二つ目の理由は、女性の官能的な美しさにあります。
クリムトは、「女性の画家」「エロスの画家」と呼ばれ、限りなく「女性」を追求した画家でした。
アトリエに複数の女性モデルを「裸」で待機させており、現存する3000点を超える素描の大半は彼女たちを描いたものでした。油彩の制作に疲れると、息抜きでもするかのように女性モデルたちをデッサンしていたようです。
クリムトにとって女性は、男性よりも「精神的」で「神秘的」な存在だったのではないかと考えられています。
「接吻」をご覧ください。
男女を描いた作品ですが、主役はやはり「女性」であることがわかります。男性の顔はほとんどこちらを向いておらず、そればがりかよく見ると、男性の足は、本来あるはずの場所に描かれていないことが分かります。まるで男性は、女性を引き立てる「装飾の一部」として描かれているかのようです。
装飾品を身につけた女性は美しいですよね。黄金の装飾を纏い、愛の中で微睡みうっすらと笑みを浮かべています。華奢で繊細な手指もまた官能的です。
次回は、「接吻」が名画と呼ばれる理由③ 深い精神性 に迫ります 〉〉〉