【解説動画】クリムトの「接吻」が名画と呼ばれる理由3つ!
【動画の概要】
クリムトの代表作「接吻」がなぜ名画と呼ばれるのかを徹底解説します。
■名画と呼ばれる理由3つ
① 超現実(00:20~)
② 官能美(03:45~)
③ 深い精神性(05:07~)
④ エピローグ(06:36~)
動きと音楽のある映像をお楽しみください。
【後編】クリムト「接吻」が名画と呼ばれる3つの理由 3/3
名画と呼ばれる理由③ 深い精神性
「接吻」が名画と呼ばれる三つ目の理由は、絵に込められた深い精神性にあります。
この絵のモデルは、クリムトと、クリムトの最愛の女性エミーリエだという説が濃厚です。単純に考えると「愛し合う男女」というシンプルなテーマのように見えます。
しかし、実はエミーリエとはプラトニックな関係であったと言われています。多くのモデルたちと肉体的な関係を持っていたクリムトがなぜ・・という疑問が浮かびます。
複数の研究者の見解によると、クリムトの中には「エロティックな女性の肉体を愛するクリムト」と「女性を精神的に崇拝するクリムト」が独立して存在していたという可能性が考えられています。
現実において「肉体的愛」と「精神的愛」を一致させることができなかったクリムトは、絵画においてそれを一致させる可能性を見出したと推察されています。
クリムトは、肉体的愛と精神的愛が一致した愛のかたちを「接吻」で表現しています。肉体と精神が一致した本来の愛のかたちは、クリムトにとって祈りのような想いであり、「接吻」は深くクリムトの精神と結びついた作品なのです。
男女が描かれてるののが断崖絶壁であるのも、クリムトの中の愛の形が歪(いびつ)であり、危ういものだったからではないでしょうか。
以上、クリムト「接吻」が名画と呼ばれる理由3つ、①超現実 ②官能美 ③深い精神性 について解説しました。
【中編】クリムト「接吻」が名画と呼ばれる3つの理由
名画と呼ばれる理由② 官能美
「接吻」が名画と呼ばれる二つ目の理由は、女性の官能的な美しさにあります。
クリムトは、「女性の画家」「エロスの画家」と呼ばれ、限りなく「女性」を追求した画家でした。
アトリエに複数の女性モデルを「裸」で待機させており、現存する3000点を超える素描の大半は彼女たちを描いたものでした。油彩の制作に疲れると、息抜きでもするかのように女性モデルたちをデッサンしていたようです。
クリムトにとって女性は、男性よりも「精神的」で「神秘的」な存在だったのではないかと考えられています。
「接吻」をご覧ください。
男女を描いた作品ですが、主役はやはり「女性」であることがわかります。男性の顔はほとんどこちらを向いておらず、そればがりかよく見ると、男性の足は、本来あるはずの場所に描かれていないことが分かります。まるで男性は、女性を引き立てる「装飾の一部」として描かれているかのようです。
装飾品を身につけた女性は美しいですよね。黄金の装飾を纏い、愛の中で微睡みうっすらと笑みを浮かべています。華奢で繊細な手指もまた官能的です。
次回は、「接吻」が名画と呼ばれる理由③ 深い精神性 に迫ります 〉〉〉
【前編】クリムト「接吻」が名画と呼ばれる3つの理由
今回の名画は、グスタフ・クリムトの「接吻」です。
この絵がクリムトの最高傑作と呼ばれる理由 ①超現実 ②官能美 ③深い精神性
について解説していきたいと思います。
【タイトル】接吻(The Kiss)(1907−1908)
【作者】グスタフ・クリムト(オーストリア 1862−1918/享年56)
【様式】アール・ヌーヴォー/黄金
【サイズ】180cm × 180cm
黄金のベールに包まれた男女が抱き合い、男性が女性の頬に口づけをしています。そして、女性はそれを受け入れ、官能的な表情を浮かべています。しかし、恋愛の歓びに没頭している男女が描かれているのは断崖絶壁です。果してクリムトがこの絵に込めたメッセージは何なのか。
クリムトは多くを語らない画家であった為、推測の域を出ない部分もありますが、この作品がオーストリア門外不出の国宝となり、現在も我々を魅了し続ける所以に迫りたいと思います。
名画と呼ばれる理由① 超現実
「接吻」が名画と呼ばれる一つ目の理由は、独創的な超現実の表現にあります。
西洋美術は、伝統的に「目に見える景色や手で触れて確認できる三次元の世界を平面に表現する写実」を追求してきました。19世紀後半に登場した印象派は、自由な筆致と明るい色彩で絵画に革命を起こしましたが、それはあくまで目の前の光を捉えようとする方法であり、西洋美術の伝統から脱してはいませんでした。
印象派を代表する画家、クロード・モネとポール・セザンヌの作品がこちらです。
クリムトは、こうした印象派までの画家が取り組んできた「現実の再現」を逸脱して一種の超現実を描こうとしました。超現実とは、現実を超えた現実のことであり、後のシュルレアリスムに受け継がれる概念です。
※シュルレアリスム(超現実主義): 理性や道徳から解放され、純粋な心の動きを表現しようとする20世紀の美術運動(1920年頃~)
当時、超現実の表現を試みること自体は珍しくなく、クリムト以外にもムンクやゴーギャンが試みてきました。下記2作品は、どちらも現実を逸脱した超現実の世界観があります。
その中でもクリムトの特徴的な点は、超現実を「装飾」を用いて表現したことです。
小芸術として伝統的に格下に見られていた「装飾」に可能性を見出し、そこに「人間を異次元の世界に導く象徴」とされていた「金」を用いた点は画期的でした。
※ 大芸術→ 建築、絵画、彫刻 / 小芸術→ 装飾、工芸品
「絵画」と「金による装飾」を融合させて独自の超現実をデザインすることに成功したことがクリムトの真骨頂なのです。
「接吻」では、見えないものを抽象化してデザインしている点も見どころです。男性の衣装に「四角(直線)」、女性の衣装に「丸(曲線)」を用いて性別を形で表現ているのが分かります。平面的で存在感ある衣装を纏った男女は、衣装を纏っていると言うよりも装飾と融合しているという印象を受けます。
次回は、「接吻」が名画と呼ばれる理由②官能美 に迫ります 〉〉〉
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【動画の概要】
ロンドンナショナルギャラリー展で初来日しているヨハネス・フェルメールの最晩年作品「ヴァージナルの前に座る女」を3つの観点で徹底解説しています。
■目次
1.命を削って描かれた作品(00:33~)
2.絵に込められたメッセージ(03:32~)
3.元ネタとなった画家の存在(05:25~)
動きと音楽のある映像を是非お楽しみください。
■youtube動画リンク↓
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